2009年10月5日月曜日

社会的スキルを育てるミニエクササイズ基礎基本30の紹介


 「社会的スキルを育てるミニエクササイズ基礎基本30」が発刊になってから焼く一ヶ月、おかげさまで、徐々に広がりが見られるようになりました。そこで、今回から何回かに分けて、私なりの考えを紹介していきたいと思います。 第1弾の今日は「まえがき」からです。http://www.meijitosho.co.jp/shoseki/shosai.html?bango=4%2D18%2D184118%2D8○社会的スキルを身につけると… 社会的スキルは,既存の教育心理的な手法やカウンセリングの技法を活用することで一定の効果や有効性を確認することができます。さらに,様々な場面でのルールや規律を学びながら,自分や自分達の課題を確かめて,必要感のある不安や悩みの解消,積極的な課題解決や,集団に適応できる自分づくりを目指すことも可能です。 低・中学年では,「挨拶の仕方」や「頼み方」など,いろいろな人への「かかわり方を学ぶスキル」や「集団で生活するために知っておくとよいスキル」等の社会的スキルを身に付けることが求められています。エピソードを使ったトラブル場面を活用した適応指導を意図的・計画的に取り入れていくことも大切にりなります。 また,実際に起きたトラブル場面をもとに,シナリオを使ったシナリオロールプレイ等を使って,生活課題に即応した課題解決も考えられます。正に合意形成(折り合いのつけ方)の基礎づくりです。 高学年では,思春期に入っている子どももいることを前提に,「共感性や配慮のスキル」「適切な主張の仕方のスキル」「将来について考えるスキル」など,集団における自分の生き方,あり方を身に付けるスキルを取り入れたいものです。 さらには,自分づくり支援や,自己理解等,「自己」をキーワードにするような取り組みが求められることになると思います。また,中一ギャップへの対応も意識して,希望や目標を持って取り組めるようなキャリア教育も活用した取り組みが求められます。○最近の学校現場の課題は… しかし,このような利点や有効性が確認され,学校現場で多く取り入れられ始めてくると同時に,児童生徒のスキルアップを目指して取り組みすぎるために起こる“抵抗”や“トラブル”の事例が数多く報告されるようになりました。 それらは,現状を打破し,新しいスキルを身に付けるきっかけになるものもあり,一皮むけた自分自身づくりの際に起こる摩擦ともとらえられますが,その多くが,個人的に課題を持っている児童生徒(特別支援として配慮を要する子,学校生活に適応できずに苦しんでいる子等)のようです。そのような課題に応えることができるように,今回の「やまかん流カウンセリング活用シリーズ2」では,「社会的スキルミニエクササイズ」と「コミュニケーションスキル」をキーワードに編集しました。○理論編では,… 今求められる「社会的スキル」とは何か,学校現場で活用するにはどのような考え方が大切かを,学習指導要領から読み解き,社会的スキルと心のエネルギーのバランスの取れた実践がポイントになることを提案しています。○実践編Ⅰでは,… 「社会的スキル」に限らず,様々な生活場面や学習場面,ゲームなどにも活用されている「ロールプレイ」を,ウォーミングアップ編として取り入れやすいように紹介しています。 特にロールプレイの基本技法として活用しやすいジェスチャーゲームや役割交換法,ミラー法,ダブル法など,手軽に活用できるように紹介し,いろいろな場面で活用できるようにしました。そのまま「ミニエクササイズ」として取り入れたり,アイスブレーキング,ウォーミングアップなどとしても取り入れやすい形にして紹介しています。最終的には,授業の中で完結するだけではなく,毎日の生活の中で意識化し,自己を振り返るきっかけにすることが重要だと思います。○実践Ⅱでは,… 社会的スキル基礎基本編として,「かかわり方」を基本に,あいさつの仕方アラカルトや,気持ちの伝え方や断り方などのスキルを紹介しています。 学級活動の年間指導計画例を参考に,「この学級の特徴から一年間で身に付けさせた方がよい力は何か」「身に付けさせることで関係が改善したり,かかわりがスムースになるスキルは何か」などを選択していただき,実施する目安にしていただきたいと思います。 特に,対人関係において,適切な心の距離や場に応じた言動を取ることが難しく,様々なトラブルに遭遇したり,問題を抱え込んでしまいやすい気になる子どもたちや,ややこしさを抱えた子どもたちにも,抵抗が起こりにくく,ダメージが少なく取り組めるように配慮することが大切だろうと思います。○実践Ⅲでは,… 課題別社会的スキルの中でも「不安や悩みの解消」をメインに,自尊感情を高めたり,心のキャッチボールをしたり,気持ちの整理をしたりすることで,自分の心のエネルギーになるようなミニエクササイズを掲載しています。 ただし,ぜひ配慮したいのが,教師が課題だと感じていても,実施する子どもたちや課題に気付いてほしい本人自身が,そのトレーニングの意図や意義をしっかりと納得していることが大切だと思います。ですから,同意を得ることやパスの権利があることなどを,子どもとの間で約束することをお勧めしたいと思います。 紹介しているミニエクササイズは,児童生徒にはもちろんのこと,われわれ教職員の研修会や学級懇談会,学級保護者会等でも活用できますので,ぜひ実践してみてください。
 本書「やまかん流カウンセリング活用シリーズ2」は「社会的スキルのミニエクササイズ」「コミュニケーションスキル」をメインに,社会的スキルの基礎基本を提案いたしました。
  平成21年7月吉日   仙台市立小学校教諭 /八巻 寛治http://www.meijitosho.co.jp/shoseki/shosai.html?bango=4%2D18%2D184118%2D8

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